雪は嫌いですか?

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屋根からザザザーッと雪が落ちる音で目が覚めた。かなり降ったな。カーテンを開けるのが楽しみだ。私は雪が好きなのだ。

夜間に雪が降った翌朝、晴れて気温が低く空気が澄んでいるときは特に、一面に輝く雪景色の美しさにうっとりすることがある。何十回と雪国の冬を経験しても見飽きることはない。木々の緑や花に飽きないのと同じだ。雪が積もると屋外の音が変わる。音が吸収されて、少し静かになるのだ。音が何も聞こえないような静かなときでも、雪のあるときとないときとでは静寂の種類が違うように感じる。気のせいかもしれないが。

雪国では私のような雪好きの大人は少数派だ。雪の季節になると、「いよいよ来ましたねぇ」的な、少し困ったような顔での挨拶が交わされる。適当に相槌をうっておくが、雪に申し訳ない気持ちになる。

確かに雪かきは重労働だし、大雪だと道路は渋滞し、たまに交通機関がストップすることもある。なにより、除雪にかかる自治体の費用は膨大だ。しかしマンション住まいで雪かきの必要がなく、通勤通学のない人まで雪を厄介者扱いしなくても、と思うのだ。地域によっては雪で死のリスクのある所もあるだろう。高齢者が転んで怪我をすることも多い。しかし、少なくとも札幌の住宅街なら生活上極端な不自由はないはずだ。夏に水不足にならないのも雪解け水のおかげなんだし、役に立つこともあるんだよ、と雪に代わって弁明したい気持ちになる。

子供の頃は雪が好きだった人がほとんどだろう。雪なんて珍しくもないし厄介なだけ、と認識を変えるのが分別のある大人、みたいな空気を感じて、ちょっと寂しくなってしまう。

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