The London Story  ロンドンへ愛をこめて

スティーブ・モリヤマ著「イギリス英語は落とし穴だらけ」に posh(ハイソな、上流階級の)な英語の一例を聞いてみたければ Joanna Lumley の The London Story を検索してみるといい、と書いてあった。

 

 

この The London Story では、様々な人がロンドンの魅力について語っている。ただ、内容はありきたりな観光案内になってしまっている。もっとそれぞれの個性が活きた話が聞きたかった。

 

市長のボリス・ジョンソン。この人のアクセントも上記の本でポッシュな例として挙げられていた。

 

市長は言う。「これほど緑が多い都市は他にない。」これは本当にロンドンの大きな魅力だ。大木が茂る広大な公園に一歩足を踏み入れれば、すぐに街の喧騒から逃れられる。そのせいか、私は大都市や人混みが苦手なのにロンドンは大好きだ。そして思い入れのある街でもある。

 

初めての海外旅行は大学生のときのヨーロッパ50日間一人旅だった。成田からヒースローに着き、ロンドンの中心部までバスで移動した。その窓から見た、空港付近の早朝の住宅街の様子は今でも目に焼き付いている。「とうとう来た!これがロンドンか~。」憧れの街に来て、テレビや雑誌では紹介されない普通の家々が見られるだけでも感無量だったが、その時からすでに懐かしいような、以前から知っているような奇妙な感覚を覚えていた。

旅行中はどんな場所を訪れても楽しいものだが、当然のことながら「観光で来ている」「この地に属する者ではない」という意識は常にあるものだ。私の場合、例えばパリではよそ者であることを痛感させられるし、神経が休まらない。美しい街だが長居したいという気持ちにはなれない。言葉の問題もあるのだろうけど、結局は相性だと思う。

それがロンドンだと、土地勘があるわけでもないのに住人であるかのような気分でいられるのだから不思議だ。初めての海外の最初の場所がロンドンだったのは幸いだった。これがパリだったら心細くて泣いていただろう。のちに、イギリスを拠点にヨーロッパの他の地域に旅行してロンドンに戻って来たときも「あ~、帰って来た。」とほっとしたものだ。

 

こんな風に書いているとまた行きたくなってしまうが、今はお金がなくて、とてもじゃないが無理。昔は学生の貧乏旅行でも難なく払えたロンドンのB&Bの料金も、今では円換算で少なくとも5~6倍にはなっているように思える。為替レートは当時と比べてずっと円高なのを考えると、ロンドンの不動産の値上がり、物価高と共に日本のデフレが痛い。

「宝くじが当たったらロンドンに長期滞在する!」としか言えない私の現実が悲しいなぁ。