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一人で参加、5泊6日の船旅 ~ ① 出発までのゴタゴタ

10年程前に岩手県の平泉へ行ったとき、苫小牧~仙台往復に太平洋フェリーを利用した。周囲360度海、という景色は変化がないのに眺めていて飽きることがなく、夜乗船して翌朝下船というのが物足りなかった。もう1泊して名古屋まで乗っていたいと思ったものだ。そうしたら数年後に名古屋に行く用事ができた。数時間で済む用事に、往復4泊も費やして太平洋フェリーで往復した。このフェリーは一人でツインの部屋を利用しても二人で利用した場合の一人の料金と同じでお得。船の中では映画以外、特にイベントがあるわけでもなく、暇を持て余しそうなものだけど、なぜか退屈しなかった。私は船旅が好きなんだなぁ、と思った。

 

以来、たまにテレビで豪華なクルーズの専門番組を観たりしているけど、私には縁のないものと思っていた。それが急にコスタ・ビクトリアというイタリア船のクルーズに参加することになった。それも一人で。

 

7月の末に放送された「マツコの知らない世界」でクルーズを取り上げた回を母と一緒に見た次の日、番組で紹介されたのと同じクルーズのツアーが新聞の広告に出ていた。札幌~福岡間の飛行機代も込みで、すごく安いので目についた。「あ、これ昨日マツコでやってたクルーズじゃない?」と言うと、母が乗り気になった。でも母は突然体調を崩すことがあり、数年前にはハワイ旅行を、去年はカシオペアに乗るツアーをドタキャンした。「どうせまたキャンセルするんじゃないの?」と言うと「死んでも行く!」と言うので、2日後に旅行代理店へ。もう海側の部屋は空きがなく、内側の部屋しか残っていなかったが「どうせ部屋にいるのは寝るときくらいだろうから、別にいいよね」ってことで、決めた。私たちの前に来たお客さんもマツコの番組を観て来たと旅行代理店の人が言っていた。

 

それからは、留守番になる父が心配なので東京の妹に来てくれるように頼んだり、母の杖や歩き易い靴を買ったり、私は切れていたパスポートを更新したりと準備を進めていったのだが。。。

出発の2日前の朝、階下に降りていくと母がどんよりと「やっぱり行かないわ。。。」と言う。旅行に行くのがストレスで具合が悪くなったんだと言う。「えーっ!?」というのと「やっぱり。。。」という気持ちが半々だった。前の晩は張り切ってスーツケースに荷物を詰めていたのにぃ。自分から「行きたい!」と言い出したんだから、楽しみなんじゃないの?でもいくら説得しても、頑として行く気無し。まあ、費用は全額母が出したのでいいですけどね。。。代金は戻らず、もったいないので私一人で行くことにした。母が行かないとなると妹に無理して来てもらう必要もなくなるが、母は腰が悪くて台所仕事などはほとんどできないので、どっちにしても来てもらうことになった。

 

直前になってとんだ騒ぎで精神的に疲れたが、普段は「旅は一人旅に限る」と思っているんだし、と気持ちを切り変える。それでもクルーズとなると「浮くんじゃないか」と不安になった。「いやいや、最近テレビで観たクイーン・エリザベス号では一人旅客が増えてシングル・ルームを増やしたというではないか。大丈夫、大丈夫。」と自分に言い聞かせた。 

この船旅の寄港地は

福岡 → 舞鶴 → 金沢 → 堺港 → 釜山 → 福岡

コスタ・ビクトリアのことは、申し込み時にもらったパンフに書いてあること以外何も知らなかったが、敢えてネットなどで調べないことにした。事前に得た情報を確認するだけの体験にしたくなかったから。

母は行かないと決めたとたん元気になった。一応、安心して出掛けられる。

 

② 一日目 福岡を出航 に続く