時間の流れの速さをどうにかしたい

今年の北海道は初雪が早かった。そしてその後11月5日から6日にかけての、この時期としては異例の大雪。もうすっかり冬になってしまい、気分は年末だ。そして、また何もしないうちに一年経ってしまったと唖然とする。この年末恒例の反省がもう15年は続いている。先日、同じことを感じていた知人と「どうしたら時間が過ぎるのを遅く感じられるようになるか」という話になった。「何かに夢中になっているのに気が付いたら、意識的に一呼吸おく」とか、その人も涙ぐましい(?)工夫をしていて、悪いけどちょっと笑ってしまった。

 

ほとんどの大人が時の流れの速さをぼやくのは、子供の頃の”1年前なんてはるか昔”的な感覚を覚えているからなのだろう。それにしてもどうして年々時間の速度が速くなるのか。不思議でたまらない。 

昨日の北海道新聞夕刊に掲載されたエッセイで、歌人穂村弘氏も”時間を味方にする方法”という題で同じことを嘆いていた。少し引用させていただく。

 

”中学高校大学時代のことは、1年ごとに何があったかどんな年だったか、ちゃんと覚えている。でも、例えば社会人5年目と6年目と7年目の違いなんて、まったく思い出せない。団子のようにひと塊だ。

怖い。けれど、時間はさらに速くなってゆく。 ~中略~

このままでは駄目だ、なんとかしなきゃ、と思っているうちに死んでしまいそうだ。 ~中略~

でも、どうすればいいんだろう。時間を味方にする方法がわからない。

とにかく、手近なところから、できることからやろう。そう考えて、最近、シャワーを出して水からお湯になるまでの間に、スクワットをしている。少しでも時間を取り戻しているつもりなのだ。”

 

なんでそうなるんだよ!と笑いつつも、そんな悪あがきさえしたくなる気持ち、わかるんだよなぁ。穂村氏の月1回のこの脱力エッセイ「目が覚めたら、」はいつも楽しみにしている。正直なところ、北海道新聞で一番好きな記事だ。

 

ところで、私の人生で時の流れが遅いと感じた時期が一度だけある。今でいう”ブラック企業”に勤めていた1年間だ。土曜日も3時まで就業だったので日曜日が本当に待ち遠しかった。疲れ果てて一日中寝ているだけだったが、次の日曜日までの一週間が長いのなんのって。。。今でも思い出すのは、出勤前に「まだ水曜日か。。。まだ半分も過ぎていないんだ。。。」とげっそりしていたこと。それを思えば、時が速く過ぎるのは辛い生活をしていない証拠といえるのかもしれない。せいぜいそう言い聞かせて自分を慰めている。

 

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