悲しみのベーコン?

しばらく前にエラ・フランシス・サンダース著の「翻訳できない世界の言葉」という絵本を読んだ。

ある特定の言語(文化)でしか、きっちりしたひとつの言葉が当てはめられていない概念や感覚がある。例えば日本語の"侘び・寂び"のような。そんな言葉をいくつかイラスト付きでまとめた絵本だ。

ピンとくるものもあれば、そうでないものもある。そんな中で、ドイツ語の"Kummerspeck(悲しみのベーコン)"という言葉は意味不明だった。絵本の中では"食べ過ぎが続いて太ること"と定義されていた。それが何か特別か?と腑に落ちなかったのだ。"悲しい"というのも???だったし。

 

先日、たまたま見た動画でその言葉の説明があり「そういうことだったのか!」と納得した。


絶対に翻訳できない世界の言葉(悲しみのベーコン???)

 

食べることで悲しみや辛い気持ちを紛らわせる。そうした結果太った分(の肉)を"悲しいベーコン"って言うんだって。ベーコンと言うところがドイツだね。ちなみに、このRENEHIKOさんが紹介している、絵本の元になった英文のサイトの方では意味がわかるように説明されている。

Infographic: An A-Z of untranslatable words from around the world - Matador Network

 

また、RENEHIKOさんも言っているドイツ語の"Fernweh"は、この絵本の中で私が一番共感できた言葉。ホームシックと逆の、"旅に出たい、遠くに行きたい"という切実な気持ち。永六輔作詞の「遠くへ行きたい」の歌詞(の前半)みたいな気持ちじゃないかな。 

 

 日本語からは"木漏れ日"、"ボケっと"、"侘び、寂び"、"積ん読"が載っている。

"積ん読"は、言うまでもなく「積んでおく」と精読、乱読のような「〇読」をかけた洒落だから、これを言葉の面白さを抜いて意味だけで云々してもなあと思うんだけど、紹介されている他の外国語の単語にもそういう部分はあるのかも。

で、"積ん読"って、私が物心ついてからできたくらいの新しい言葉だと思ってたら、意外にも明治時代に田尻稲次郎という人が作ったものだそう。そんなに昔からあったとは驚き。うまくできた洒落だよね。

田尻稲次郎 - Wikipedia

 

翻訳できない世界のことば

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