数十年振りにピアノを弾き始めると。。。

自分でも驚いたことに、飽きずにピアノの練習を続けている。40年振りくらいでピアノを再開するとどんな感じかというと、まあ、ほとんどリハビリと言ってもいい。脳の障害とかで手が動かなくなった人が訓練するのとちょっと似ているかもと思う。いや、指の動き以前に楽譜が読めなくなっていたけどね(笑)。

 

ほんと、まず楽譜を読むところから四苦八苦。五線譜の文字通り5本の線の範囲内ならぱっと見でわかるんだけど、そこから線が2本も3本も上や下へ行った音符はド、シ、ラ、ソ・・・と数えていき、カタカナでファとか書いておく始末。5か月近く経った今では、まあまあ読めるようになった。思い出したのではなく、弾いてるうちに新たに覚えた感じ。

 

指の動きに関しては、ちょっとした速い動きもできなくなってるだろうと覚悟はしていた。でも実際やってみると、単純にそういうことではなかった。速い遅いではなく、頭が出した指令と違う動きを指がするんだよね、勝手に。自分の指じゃないみたい。

 

そしてこれも予想はしていたことだけど、鍵盤の位置(幅)の感覚を忘れていた。本当に初めのうちはラのシャープを押さえたいのにソのシャープを押さえていたり。なんか響きが変だなと鍵盤を見て気付く。最近はさすがにそういうことはなくなったけど。でも遠く離れた鍵盤に飛ぶとき(左手に多い)は鍵盤を見ないと移動できない。昔は見なくてもできてたような気がするんだけどなあ。いや、やっぱりちらっと見てたのかな?見てたとしても、それが負担になってはいなかったはず。今はこれがかなりネックになっている。鍵盤の位置をちらっと確認するために楽譜から目を離すと、楽譜に目を戻したときにどこを弾いていたのかわからなくなることがある。それが連続すると視線があっちこっち行ってクラクラしてくる。

 

まったく予想していなかったことでやっかいなのは、音感がずれてしまっていたこと。この40年で私の頭の中の音はちょうど一音ずれたようなのだ。例えば"ド"が"レ"に聞こえる。ちょっと楽譜を意識しないでいると、"ド~ソ"と弾いているのに頭の中で"レ~ラ"と歌っている。説明しにくいけど混乱することがあるのだ。ピアノを再開してから YouTube でよくピアノ曲を聴くようになり、楽譜や鍵盤が映っているのを見て確認すると、やっぱり私の音感は一音ずれているのがわかる。なんだこれ?昔はこんなことなかったのにな~。でもこれも最近は"ずれ"が修正されつつあるのか、気にならなくなってきた。

 

あと、最初の二カ月くらいは肩凝りで30分くらいしか続けて弾いていられなかった。猫背になっていた姿勢を直したら1時間程度なら疲れないようになった。プロのピアニストでも猫背の人が多いけど、肩凝らないのかと気になっちゃうよ。

 

もちろん他にもいろいろ問題はある。でも続けているうちに少しずつ問題が解消していくのが嬉しくて新鮮なんだよな~。昔はできていたことだから厳密には"上達"ではないんだけど、昨日できなかったことが今日はできるようになった!一週間前とは全然違う!と実感するのは、年をとってからはなかなかないことだ。

 

こうして色々と乗り越えながら練習しているわけですが、ひとつ乗り越えられない壁が。。。それはドライアイ(と老眼?)による目のかすみ。練習し始めの曲は瞬きしないで楽譜を凝視しているから特に。鍵盤の横のスペースに人口涙液の目薬とティシューを常備。

 

昔みたいに弾けるようになりたいとは思っていない(昔だってヘタだったけど)から気楽なもの。認知症予防用のおもちゃを与えられたような感覚で、再開から4カ月経った今も、時間を見つけては喜々としてピアノに向かっている毎日なのだ。