気がつくとバッハを選んでいる

今までより少し手応えのある曲が弾きたくて、全音の「J.S.バッハ=ケンプ ピアノのための10の編曲」を買った。 

目当ては「イエスよ、わたしは主の名を呼ぶ」(タイトルの日本語訳はいろいろ)。他にも「ラルゴ」「シチリアーノ」「主よ、人の望みの喜びよ」といったキャッチーな(?)小曲が入っていて、お得感あり(笑)。

 

 

「イエスよ、わたしは主の名を呼ぶ」はタルコフスキーの映画「惑星ソラリス」で使われていることでよく知られているらしい。映画は観ていないが、レムの原作は読んだことがある。絶妙に不安定な旋律(と私には思える)が、不安をかきたてるあの小説に合う。

 

気がつくと、いまクラシックの曲で弾くのはほとんどがバッハになっている。昔ピアノを習っていた頃、バッハは退屈なだけだった。嫌々なのが態度にも表れていたようで、先生に「バッハはみんな嫌いなのよ!(だから我慢して練習しなさい)」と言われたのを覚えている。先生~、そりゃないでしょ~(笑)。

 

ただ当時から、ピアノで習う曲(「インベンションとシンフォニア」とか「フランス組曲」)以外では好きな曲があったし、クラシックを聴くとしたらバッハだったんだよなあ。鍵盤楽器用ではない曲をピアノ用に編曲した楽譜も簡単に入手できるようになったのが、今バッハを弾く気になった要因だと思う。

 

ピアノを再開しなかったら、一生「バッハをピアノで弾くのは嫌い」と思い込んでいただろう。好きなものの範囲がほんの少しだけど広がったのが、なんか嬉しい。