初めてのニシン漬け作り

晩秋には両親が毎年ニシン漬けを作るのが恒例だった。10年程前だったろうか、母が材料を父に渡し、父が樽に詰めるといういつもの役割分担で作業していた二人。漬け終わったところで、母が塩と間違えて砂糖を手渡していたことが判明。材料を全部洗って漬け直しとなった。母は「手渡されたのが砂糖だと気付かない方が悪い」と開き直り。普段は怒ることのない父が珍しく怒っていた。その年の出来について母は「砂糖で作っても美味しかったよ。」と言っていた。しかしこの事件で嫌気がさしたのか、両親はそれ以来ニシン漬けを作らなくなったのである。

 

そんなわけで、私にとってニシン漬けは「親が作るもの」だった。買って食べるものではないし、自分で作ろうという気になったこともなかった。それが今年、作ってみる気になったのは、叔父が家庭菜園で作って時々持ってきてくれる大きな大根の消費が追い付かなかったからだ。大量の大根を使う料理は何かと考えていて「ニシン漬け!」ということになったのだ。母に材料の分量を訊いたが「そんなのは適当だよ」と言うのでネットで調べたが、家庭や店によって様々。塩の量は野菜と米麹の量の2.6%にすることにして、あとは適当。親が作っていた頃の三分の一くらいの量にした。作ったのは11月9日。備忘録としてここに書いておくつもりだったのに、ぐずぐずしているうちに大根が1本だったのと全部でおおよそ4kgだったこと以外、量を忘れてしまった。

 

メインの材料は 大根、キャベツ、人参、身欠きニシン(1~2晩、米のとぎ汁に浸してから鱗を取る)

他に 米麹、麹用ぬるま湯、しょうが、鷹の爪、昆布、砂糖少々(砂糖は入れないレシピもある。私は大匙1程を麹に混ぜ込んでみた)

写真では見切れていますが、キャベツは大量です。

人参、しょうが、昆布は千切り。鰊は腹骨を取った(柔らかくなるので取らなくてもよかったかも)。

 

野菜が4kgだと塩は100gちょっとになる。塩が少なくて不安。小さめの樽にビニール袋を入れ、大根→キャベツ→ニシン→人参→麹→大根…のように塩を振りながら順に重ねていく。

 

車庫に持って行って重石をした。一日経つと水が上がってきているはず。。。

 

翌日、様子を見てみると、思ったほど水が上がっていない。やっぱり塩が少なかったのかなと、大匙1杯分足した。すると、その次の日には水に浸かっていた。寒かったので氷が張っていた。

 

11月15日(6日目)。ちょっと早いけど出してみた。

私はこのくらいの浅漬けが好き。キャベツがザクザクしていておいしい。ただ、塩を足したのは失敗だった。母は「これから馴染んできて、塩気は気にならなくなるよ」と言っていたが、私にはちょっとしょっぱい気がする。後で叔母に話したところ、1日目で水が上がらなかったのは重石が軽かったせいではないかと。もっとぎゅーぎゅーに押していいらしい。

この日から毎日食卓に上がるように。親がすごく喜んで食べてくれて、作った甲斐があった。ボリュームがあるので、おかずが一品増える感じになるのも便利。ある程度嵩が減った10日目にジップロックに詰め替え、車庫から冷蔵庫の野菜室へ。

2週間くらいで食べ切った。後の方になるにつれて父は「だんだん旨くなってくるなあ」と言っていた。酸味が出てくるので、この辺はそれぞれの好み。

 

初めてにしては、まずまずの出来だった。来年も作ってみようかな。