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グラナダで不思議なすれ違い

単なる偶然と言ってしまえばそれまでだけど、それにしてもすごい偶然、という話。

 

昔々、イギリスに語学留学していた頃のこと。学校のクリスマス休暇を利用して、仲良くしていた日本人の女の子と二人でスペインを旅行中、グラナダでちょっと変わったカフェを見つけた。

市街地にあるその店の入り口はそんなに特徴はなかったように思う。が、中に入るとアルバイシンの洞窟住居をイメージしたような小さい個室がいくつかあった。個室内はかまくら状の球形で、繭の中にいるような狭さが心地よかった。

グラナダに滞在中の数日間、「あのお店行こう!」と毎日通った。店の名前は意識せず、二人の間では「あのお店」とだけ言っていた。旅行から帰ってからも、グラナダといえば「あのお店良かったね」と忘れられない店になっていた。

それからおよそ8年後、今度は母と二人でグラナダを訪れる機会があった。この時も何泊かしたので時間の余裕があり、懐かしいあの店に母も連れて行きたかった。行ったり来たりしてずいぶん探し、お目当ての通りまではたどり着いたように思った。しかし、ここだったはずと思う店の感じは全く違っていて確信が持てず、中には入らなかった。心残りだったが諦めざるを得なかった。

旅行から帰って1週間ほど経った頃、郵便受けにグラナダの絵葉書があった。「きっと、お母さんが家に宛てて書いたんだ。でもいつの間に?」と思いながら裏返して見て驚いた。それは母が出したのではなく、8年前に一緒にスペインへ旅行した友達からだったのだ。そこには「あのお店らしき所にも行ったよ!」と書いてあった。

すぐに神奈川に住む彼女に電話して(私は北海道)、グラナダにいたのはいつかと聞くと、私たちとわずか2日ほどの違いだった。本当に不思議なこともあるものだ。