リッチーのインタビュー Over Melbourne (1976年)

何度も繰り返し聞いたと前に書いたリッチー・ブラックモアの40年前のインタビューCD(ブートです💦)。 


その内容がYouTubeにあった。


Ritchie Blackmore Interview on Melbourne Radio November 21 1976

 

訳は1995年の「Burrn!」誌別冊の「炎」という雑誌に所々省略されながらも一応載っている。

改めて「炎」の訳を見ると、ちょこちょこ変な所がある。私も全部聞き取れているわけではないが、気になる部分を何か所か挙げておこうと思う。

 

2:18 辺り 「炎」p.193上段

”それで今使っているトレモロ・アームの説明もつくのさ。”

.... acounts for the bad way that I play at the moment  に聞こえる

→ ”それで今の下手な弾き方の説明もつく” 

 

3:27  「炎」p.193下段

”短い時間しかやらない。”

it's shock tactics

→ ”ショック戦法だよ”

 

7:43  「炎」p.195上段

”ショーン・ペテンジングを心に浮かべて書いた曲だ。”

Man on the Silver Mountain was written with Sherpa Tenzing in mind.

→ ”シェルパのテンジン(・ノルゲイ)をイメージして書いた曲だ。” 

ていうか、ショーン・ペテンジングって誰(笑)? もっとも、ここは私も何度も聞き返し、調べもして、やっとわかった部分。”ショーパテンズィン”って聞こえるんだよね。”シェルパ”を"Sherpa"と綴ることも、テンジンも知らなかったし。固有名詞は(固有名詞だと気がつけばまだいいが)知らなかったらそれまでで、何度聞いてもわかるわけがない。

 

固有名詞といえば、この部分の最後に" Man on the Silver Mountain was written around Cadbury's chocolate bars basically." → ”マン・オン・ザ・シルバー・マウンテンは基本的にはキャドバリーのチョコレート・バーについて書いてるんだ。”と、面白くもないジョークを言っている(「炎」では省略されている)。Cadbury('s)自体は知ってたが「キャッブリッ(ジ)」と聞こえる音とつながらず、何のチョコレート・バーなのかずっと謎だった。ある時、イギリス人が雑談中に全く同じ言い方で「キャッブリッジ・チョッコリット・バー」と言った(ように聞こえた)。それで「えっ!?ナニナニッ!?今、何のチョコレートって言ったの!?」と聞き返してやっと判明したのだ。すっきりしたけど、わかってみればどーでもいいことだ。そのイギリス人はそんな所で急にガバッと身を乗り出して必死の形相で聞き返してくる私を相当変な奴だと思ったことだろう。 

 

12:15  「炎」p.197上段

”彼の首が落とされる裁判の時の裁判官の一人に手渡されたものだろう。何にしてもヘンリー8世の裁判に関わった誰かによって作られたんだ。”

Or it was written by one of his court jesters, and his head was cut off.  And he took the writing royalties (etc.?).  It came from the court, the people of Henry Ⅷ.

→ ”あるいは宮廷の道化が書いたもので、彼は斬首された。で、王が著作権など(?)を横取りした。(グリーン・スリーブスは)宮廷、つまりヘンリー8世の周辺の人が作ったものだ。”

 

15:20   p.197下段

”私は客観的に見ていたい。リスナーとしてもね。” 

I can't be objective.  It's for the listeners to actually say.

→ ”私は客観的にはなれないよ。実際に判断するのはリスナーだ。”

 

17:32  p.198下段

”時には、どうしてこうなったんだろうと思うこともある。”

Sometimes I wonder why I bother.

→ ”なんでこんなことを気に病むのかと思うこともある。”

 

23:43 p.200中段

”それに私がプレイするものをチェロ奏者が弾くところを観察するのも興味深いものがあった。2カ月間もね。”

It's quite interesting to see all (these?) cellists playing something that I played within 2 months.

→ ”私が過去2カ月以内に弾いたものをチェロ奏者が弾いているのを見るのは興味深いね。”

チェロ初心者のリッチーがつい最近自分のチェロで作ったフレーズをレコーディングの際にプロのチェリスト達が弾くのを見ての感想。

 

29:53  p.202下段

”向こうから誘いがあったのでそうなった。”

He is like God out there.  So we should be." 

→ ”彼はむこう(アメリカ)では神みたいなものなんだよ。だから(我々がサポートなのは)当然だろ。” 

「炎」の訳は、なぜそうなるのか理解に苦しむ。

 

33:47  p.204上段

”急いでスタジオ入りし、他の奴が何を考えているかなんて考えもしなかったんだ。”

...  jumping into the studio with no idea whatsoever.

→ ”(曲に関する)アイデアはこれっぽっちもないまま、スタジオに飛び込んでたんだ。”

 

35:45  p.205上段

”私はどうプレイしたいかを考え、バックでグレンに『こう弾いてくれないか』と頼まなくてはならなかった。”

I had to ask Glenn to play that on the fact that I would play one of his songs.

→ ”私も彼の曲を弾くのだからと、グレンにそれ(「ソルジャー・オブ・フォーチュン」)を弾いてくれるように頼まなければならなかった。”

on the fact の "on"の意味がよくわからないが、根拠や条件を表す意味かなと推測。

 

37:10  「炎」p.205中段

”私は保守的だから、今の労働法には賛成していない。”

I'm a Conservative.  And I will not work under the Labour rule.

→ ”私は保守党の支持者なんだ。だから労働党の政権下で働く気はない。”

労働党の話が出てきているので、"conservative" は"保守的な人"というよりは"保守党支持"という意味だと思う。

 

45:10  「炎」p.208下段

”(トミー・ボーリンは)あまり体を動かすことに気が回らないようだが”

He is very unkind to his body.

→ ”彼は体を大切にしているとはいえないね” 

ドラッグのこと?

 

47:56  「炎」p.209最後

”それに従って生きていかざるをえないんだよ。”

Now I leave it at that.

→ ”このくらいでやめておくよ。”

 

インタビュアーは地元ラジオの関係者? ほぼファンのスタンスで素人っぽいせいか、リッチーが身構えずに答えている。

「経歴を話してください」との、あまりにもざっくりした要求をリッチーが(たぶん冗談で)断ると、インタビュアーは「...OK...」とあたふた。それをリッチーは気の毒に思ったようで、助け舟を出す様子なんかは、文字では伝わらない部分だ。

このインタビュアーが時々つまらない質問(誰々のことをどう思うか、など)をするのにうんざりするが、リッチーは意外にも辛抱強く答えている。彼の常識人としての一面が見られるインタビューだ。